まず新型コロナウイルス感染拡大が猛威を奮っている中、医療現場の最前線で診療やケアにあたって下さっている医療機関の皆さま、また我々の生活を維持するためにウイルス感染の危険がある中、業務にあたって下さっている皆さま、心より感謝申し上げます。
新型コロナウイルスの影響で、外出自粛やリモートワークを採用する企業の増加などのニュースが出始めてからしばらく経ちました。
緊急事態宣言は解除されましたが、第2波・第3波への警戒は続いており、人の密集や密接を防ぐために新しい生活様式の実践が求められるなど、生活がすべて元に戻ったとはいい難い状況でしょう。
また、新型コロナウイルスはいまだはっきりとした治療法が見つかっていません。
もし感染した場合、医療保険から検査費用等は支給されるのかを生命保険会社・損害保険会社の取り扱い方針から解説していきます。
医療保険からの給付
入院給付金
多くの生命保険会社から新型コロナウィルスに感染した際の取り扱い方針が発表されています。
新型コロナウイルスに感染し医師の指示のもと入院した場合は、通常の疾病での入院と同様とみなされます。
そのため契約通り、入院日数に応じて医療保険から給付金が支払われます。
新型コロナウイルスの疑いで入院を指示され検査の結果、陰性であった場合でも、陽性の場合と同様に入院日数に応じて入院給付金が支払われます。
通院給付金
入院後に通院することになっても、通院給付金が支給される医療保険であれば給付金が支払われます。
ただし通院給付金は「〇日以上の入院を経た場合に限る」など、入院後の通院に限られることが多いため気を付けてください。
また新型コロナウイルス感染拡大防止を理由に、医療機関側からオンライン診療・電話診療をすすめられることもあるかと思われます。
その際も入院日数などの条件を満たしていれば、通院給付金の支給対象となりますのでご安心ください。
ただしオンライン診療・電話診療で通院給付金が出るのは、医師の証明書の提出がある場合のみです。
この特例は新型コロナウイルス罹患者だけでなく、その他の疾病・ケガでの通院の場合にも適用されます。
手術給付金
病気やケガで手術を受けた際に支払われる手術給付金についても、入院給付金・通院給付金と扱いは同様です。
新型コロナウイルスかどうかは関係なく、保険会社所定の疾病での手術であれば、給付金は支払われます。
検査費用について
検査費用ですがもともと医療保険には検査費用給付金という項目は設けられていないため、特に給付はありません。
ただし感染疑いでの検査入院であっても医療保険の保障対象となります(医師の指示による入院に限る)。
これは検査の結果が陽性・陰性どちらの場合であっても同じ扱いです。
入院して検査を受けるならば、入院日数に応じて給付金を受け取ることができるのです。
ちなみに、新型コロナウイルスの感染判定のための検査(PCR検査)の費用自体は結果が陽性・陰性に関わらず公費扱いとなるため、患者側の負担はありません。
なお新型コロナウイルスにすでに感染して、抗体を持っているかどうかを調べる抗体検査については自由診療となっており、費用は自己負担です。
各自治体では感染状況を調べるためにサンプル検査を実施し始めましたが、現在のところ抗体検査を行っている医療機関は限られており、1日で検査できる件数も限られていることが多いようです。
ホテルや自宅で療養しても保険は下りる?
緊急事態宣言が発令された頃には入院を必要とする患者が多くなったものの、一方で患者を受け入れるベッド数に限りがあります。
都市部の医療機関では感染者全員を収容できず、新型コロナウイルスに感染しているにも関わらず受け入れ先が決まっていない方が多い状態が続きました。
そこで東京都や大阪府は、医療機関の負担を減らすために域内のホテルを借り上げて、入院中の軽症者や症状のない患者を順次移すことにしました。
また軽症者は医療機関に入院することなく、初めからホテルなどで治療を行っていくケースも出ているようです。
緊急事態宣言が発令された4月以降、多くの保険会社では特例措置として医療機関の事情により新型コロナウイルス感染者が入院できず自宅やホテルなどの臨時施設で療養した場合でも、医療保険の給付金の支払い対象とすることを発表しています。
なお、給付の条件として、治療期間を確認できる医師の証明書の提出が必要になります。
直近では感染者数は減少傾向にありますが、新型コロナウイルスは第2波・第3波がやってくる可能性があるとも言われています。
感染者数の状況によっては、今後ほかの地域でも医療機関の受け入れ制限が実施される可能性があります。
また、このような医療保険の特例措置を適用する保険会社も増えていくと見られます。
死亡保障・就業不能時の保障
入院時だけでなく、新型コロナウイルスで死亡した時や就業不能状態になった場合の保障はどのようになるかも知っておきましょう。
死亡保険
新型コロナウイルス感染が原因で死亡した際も、通常の病気での死亡時と同様に死亡保険金が支払われます。
なお当初は不慮の事故で死亡、もしくは高度障害を負った時に死亡保険金に上乗せされて支払われる災害割増特約の対象とはされていませんでしたが、現在では多くの保険会社で支払い対象としています。
就業不能保険
新型コロナウイルスに感染すると、検査や入院、治療で長期間仕事を休む可能性もあります。働けない間の生活サポートのための保険就業不能保険は適用されるのでしょうか。
この点は個別の契約内容で違うと言えるでしょう。
就業不能保険は就業ができない状態になっても、一定期間は給付金が支払われません。
支払対象外となる期間は60日や180日など、契約内容によって違います。
60日以上もしくは180日以上、就業不能状態が続けば給付されますが、その期間以下で仕事に復帰すれば支払対象外となります。
まとめ
今回は、新型コロナウイルスに感染した場合の公的医療保険や民間保険について解説しました。
医療保険や就業不能保険に加入していると、新型コロナウイルスで入院した場合や働けなくなった場合に給付金を受け取れる可能性があります。
また死亡した場合は、死亡保険金の支払い対象です。
一方で医療保険や就業不能保険には、免責期間に注意が必要となります。
加えて新型コロナウイルスは、所定の感染症に認定されていないため、災害死亡保険金の支払い対象となりません。
まずはご自身が加入している保険の保障内容を確認してみてください。
契約内容で不明点がある場合は、加入中の生命保険会社に問い合わせてみましょう。