サラリーマンでも節税できる6つの節税対策
2020/09/27

サラリーマンの税金の手続きは、従業員に代わって会社が行っています。
そのため納税するという意識がなく、節税するという意識も希薄になりがちです。
しかしサラリーマンでも確定申告をすることで節税効果が期待できたり、税金が戻ってきたりすることがあります。
もしかしたら払う必要のない税金を支払っているかもしれません。
さらに、昇給しなくても自由に使えるお金が増える可能性があるのです。
日本の所得税は累進課税ですので、所得税が高い人は特に節税対策が大きな効果を生む可能性が高いです。

ふるさと納税

ふるさと納税とは全国各地の自治体から寄付先を選んで寄付することで、寄付金控除を受けることができる制度です。
制度の名前は納税ですが、取り扱いは寄付と同じです。
地方自治体から寄付金のお礼として野菜やお肉といった返礼品を貰えることから、近年人気を集めています。
ふるさと納税は自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となり、所得税から還付を受けることができます。
所得税の計算の際に、寄付金額が所得控除されるために支払わなければならない所得税額が低くなるのです。
なお、所得控除の対象となる金額は2,000円を超える部分です。

自営業やフリーランスは確定申告が必要ですが、サラリーマンなどの給与所得者で寄付した自治体が5箇所以内の場合は、ワンストップ特例制度を利用すれば、別途確定申告をする必要がありません。
(※ただし、寄付を行った自治体に所定の申請書を提出する必要があります)

このワンストップ特例制度は、確定申告を行わないサラリーマンの方を対象とした制度で控除額は変わりませんが所得税分の還付はなく、所得税分も含めた控除額全額が翌年度の住民税から控除されます。
ただし6自治体以上に寄付をした場合には給与所得者でも確定申告が必要になりますし、他の控除(医療費控除や住宅ローン控除)などを受けるためには、通常どおり確定申告をする必要がありますので注意が必要です。
さらにクレジットカード決済も可能ですので、カード利用時のポイントをお得に貯めることができます。

また、ふるさと納税は節税にはなりますが手取りが増える制度ではありません。
総務省のポータルサイトでは家族構成や年齢別に、年間上限額の目安を公開しています。
自分にとってメリットがある節税額と節税方法を検討しましょう。

iDeCo

老後資金形成に役立つiDeCo(個人年金確定拠出年金)も節税方法の一つとして近年注目を集めています。

毎月一定の額を拠出し、自分の采配で運用することによって資産を増やします。
そして将来、年金や退職金として受け取ることができるのです。
サラリーマンの場合は、毎月1万2,000~2万3,000円の掛金をiDeCoに拠出が可能です。
この掛金が所得控除の対象となり、所得額から差し引かれます。
税金は課税所得額に税率を掛けて求められるため控除が増えれば、その分所得税や住民税が安くなります。
その上、拠出した金額を運用して運用益が出ても、所得税・住民税はかかりません。
なお受け取る際は税金がかかりますが、退職所得控除や公的年金等控除の対象になるため、会社から退職金が出ない人や、年金額が少ない人にとってはよりメリットが大きいです。
ただし勤務先に企業型確定拠出年金制度がある場合は、加入できないこともあります。
また拠出した金額は原則として60歳まで引き出すことができず、拠出の停止はできますが解約はできません。

あくまで資産運用を行うサービスなので、運用の結果次第では60歳以降に受け取る金額が積み立てた額より少なくなってしまうこともあります。
各種事務手数料がかかる点にも注意が必要でしょう。

医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらも医療費に対する所得控除で、どちらかを選択して利用します。
どちらも家族の医療費を合算して申告できるため、よりメリットが大きいのはどちらか検討しましょう。

医療費控除

年間の医療費合計が10万円(年収200万円未満の場合、年収の5%)を超えた場合に、超えた金額が所得額から控除されます。
上限200万円で保険金を受け取った治療費などについては、保険金の額を引いた金額が適用となります。
ただし総所得が200万円未満の場合には、10万円でなく総所得金額の5%を超える部分が控除対象となります。
さらに保険金等で補填された金額がある場合は、その額も差し引く必要があります。

セルフメディケーション税制

薬局などで購入した対象の医薬品の額が年間1万2,000円を超えた場合、その超えた金額が控除されます。(上限8万8,000円)
セルフメディケーション税制を利用できるのは、日頃から健康維持のための対策をとっている人だけですが、会社で健康診断を受けている会社員はすべて対象になります。
医療費控除やセルフメディケーション税制には、特別なことをしなくても支払った医療費を申告するだけで節税できるという大きなメリットがあります。
セルフメディケーション税制を利用する場合は、その年に健康診断や予防接種などを受けていることが条件となります。
ただし医療費控除は会社で行う年末調整では手続きができないため、確定申告が必要です。
なお確定申告時には医療費控除の明細書を作成して、確定申告用紙と共に提出するだけでいいので、確定申告時に領収書は提出不要ですが、税務署から提出を求められることがあるので、領収書も5年間保存しておく必要があります。

生命保険料控除

民間保険に加入している人は、保険料控除が受けられる可能性が高い。
控除の対象となる保険は次のとおりです。

・生命保険
・介護医療保険
・個人年金保険
・地震保険

対象になる保険に加入している場合、年末が近くなると保険会社から保険料控除証明書が送られてきます。
年末調整時に会社から渡される、給与所得者の保険料控除申告書に内容を転記して証明書を提出することで、税額が控除されます。
なお控除を受けられる金額は掛金の全額ではなく、一定の計算式にあてはめて算出されます。
一方、医療費控除のような一定金額を超える必要があるという縛りはないため、たとえ掛金が低くても申告しましょう。

住宅ローン控除

住宅ローン控除は住宅ローンを組んで自分が住むための家を購入した人や、ローンを組んで居住する家を増改築した人が受けられる控除です。
それぞれ細かい規定があるので該当する人は限られますが、節税効果は非常に高いです。
年間数十万円もの節税ができるケースもあるため、該当者は忘れずに申告しましょう。
住宅ローン減税は減税限度額と12月末時点のローン残高の1%の金額と、自身の1年間の所得税の額のいずれか少ない方となります。
この制度は住宅ローンの年末時点での残高の1%が10年間、所得税(及び住民税)の額から控除され、最大控除額は10年間で400万円ですが、いつ入居したかによって控除される額は異なります。

2年めからは会社の年末調整で手続きできますが、1年目は個人で確定申告が必要です。
自分の住んでいる地域の税務署に登記事項証明書か売買契約書の写しなどの必要書類を添えた確定申告書を提出する必要があります。

扶養控除

扶養控除は、自身が扶養している人がいる場合に利用できる控除。
子供のほか、所得金額が一定以下の配偶者や親なども扶養に入れることができます。
配偶者が産休・育休中、一時的に所得が基準を下回った場合も扶養控除の対象となります。
また、親と別居している場合でも、仕送りなどの事実があれば扶養に入れることが可能です。
これらは年末調整で申告できます。
自分から申告しないと控除が受けられないため、該当する場合は忘れずに申告しましょう。

節税のし過ぎに注意

サラリーマンでも控除の対象になるものをしっかり理解しておくことで、税金対策ができます。
しかしここで気をつけたいのが、節税をしすぎてしまうことです。
必要があって利用している生命保険や住宅ローンを申告するだけであれば大きな問題ありません。
しかしふるさと納税やiDeCoを節税目的で利用するのであれば、本当にそれがメリットになるのか考える必要があります。
所得税の控除を受けたい額よりも、所得税の支払いが低ければ金額を引ききることができません。こうなると、せっかくの節税対策も意味がありません。
また6つの節税法のうちふるさと納税とiDeCoはほぼ全額が控除されますが、それ以外は支払った金額の一部しか控除されません。
そのため節税目的で無駄な支出を増やすことがないように気をつけましょう。

まとめ

自分で確定申告することが少ないサラリーマンは、手取り給与のことは気にしても、自分の所得税や住民税の金額を改めて意識することは少ないかもしれません。
しかし、サラリーマンでも所得税や住民税を大幅に節税できるケースがあります。
まずはどのような場合に節税できるのかを知り、申告忘れによる税金の払いすぎをなくすことから始めましょう。

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