不動産売却とは?不動産売却の流れを解説
2021/11/09

マンションや土地などの不動産を売却するにはいくつかの手順を踏む必要があります。
それぞれ必要な手続きや活動、注意すべきポイントを理解することでスムーズな売却が可能になります。
今回不動産売却を全く知らない人でも理解できるように、実際の不動産売却の流れを売り主の視点でそれぞれ解説していきます。
不動産に関するさまざまな知識を事前に把握しておくことで、より有利な売却を目指すこともできます。

不動産を売る理由とは

まずは売却の理由や目的、希望条件などを整理しましょう。
それによってどのように売却を進めていくかの方針も見えてきます。
なぜその不動産を売却するのか、その理由を確認しましょう。
たとえば子どもが成長して自宅が手狭になったり、逆に子どもが独立して夫婦2人で暮らすには広すぎたり、住み替えるためだったり、あるいは親の自宅を相続しするので自分では利用しないため換金するためという理由もあります。
それとも親の自宅ではない不動産を売りたい、まとまった資金が必要なためなど、目的を明確にしておくことが不動産売却をする上で重要です。

その際は売却の希望条件も明らかにしておきましょう。
いくらぐらいで売却したいのか、それによって次の買い替え先や資金計画が大きく左右されます。
またいつぐらいまでに売却したいのかによって、売却活動をスタートさせるタイミングも自ずと決まってくるでしょう。

不動産売却の手順

1.不動産会社と契約、売却依頼
2.売却条件を設定し、不動産の売り出し
3.買主と売買契約ののち、引き渡す

この手順に沿って解説していきます。

大事に暮らした家や実家の土地を売るにあたって売り出し価格を決めるのも、売買契約の条件を定めるのも売り主ですが、不動産は1対1の取引であり、買主が現れなければいつまでたっても売れることはありません。
ある程度の価格交渉に応じたり、買い手が求める物件についての情報開示ができるように、自分なりの情報収集と売却計画が必要です。

売り手も買い手も納得できる、良い取引ができるように心がけましょう。

不動産会社に売却の相談をもちかける

まず、不動産売却とはどのようなものかについて不動産売却に詳しい知り合いに聞いたり、書籍やインターネットを使うなどして情報収集をしましょう。
不動産会社に連絡をして不動産売却の相談をします。
基本的には対面で話すことをお勧めします。
不動産売却では、会社の雰囲気や担当者の人柄を把握することも大切です。
相談は手ぶらでも構いませんが、できれば事前に必要な書類は準備しておくと話が進みやすいです。

【必要な書類】
・所有不動産の物件概要書
・登記事項証明書(登記情報)、または固定資産税納税通知書
・間取り図および敷地測量図

相談と同時に、不動産の売却価格を決めるために不動産会社から価格査定を受けます。
不動産の「査定」とは、不動産会社が売却予定の不動産が売れそうな価格を付けることを指します。
不動産市場の相場に対して高すぎると買い手に見向きもされず、低すぎると売主が損をしてしまうため、不動産売却のなかでも1つ目の重要なポイントです。
価格査定には机上査定と訪問査定(実査定)の2種類がありますが、不動産を売ることが決まったら担当者に物件の内覧をしてもらい、訪問査定を受けるのが通例です。

なおここで複数の不動産会社に依頼することで、査定時の担当者の対応や査定結果を比較を基に不動産会社を比較検討できるので、不動産選びに活かすことが出来ます。

媒介契約を結ぶ

不動産会社を選んだら、売主と不動産会社との間で媒介契約を結びます。
媒介契約とは売却が成立したときの不動産会社が受け取る報酬額、また売却活動の方針を取り決める契約です。
媒介契約を結ぶ際に自分が把握している建物の雨漏りや周辺の騒音等、売却する不動産の状況を報告書としてまとめて記しておきます。
さらに建物内にある設備等の故障や、不動産の付帯設備として何を置いていくかを付帯設備表と呼ばれる書類に記入します。
査定価格などの説明を受け、周辺の取引事例や公示価格・路線価などの公的データ、売主様のご要望を加味したうえで売出価格を決め、さらに売却活動の内容についても確認します。
十分に納得したうえで不動産会社と媒介契約を締結します。

主な媒介契約の形態は「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類から種類を選びます。
不動産を売却する理由やご自身の状況をもとに契約の種類を選びましょう。

不動産を売り出す

1.買主へ物件の案内、説明をする
2.購入の申し込みを受ける
3.買主からの条件交渉に対応する

媒介契約を結ぶと、正式に不動産会社が仲介として不動産の売却活動を開始します。
ここからは基本的に売主ではなく、不動産会社主導で売却は進みます。
販売活動は売主の状況や売却する物件によって異なりますが、まずは相場や査定額・不動産市況をもとに売り出し価格を決定します。
その後、不動産会社の販売促進活動が開始します。
広告を見て興味を持った人から不動産会社が問い合わせを受けます。

1.買主へ物件の案内、説明をする

問い合わせがあれば、買主へ物件の案内・説明をおこないます。
仲介する不動産会社に全てを任せてもいいですが、実際に売主が案内に立ち会って案内・説明をおこなうことが通例です。
内覧日を調整して事前準備も行います。

売り出す前に「建物検査(インスペクション)」を行って住宅の状態を把握したり、
「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」に申し込む場合もあります。

そして売主様に対して売却活動内容の報告を書面で行います。
媒介契約の種類によって専属専任媒介の場合は1週間に1回以上、専任媒介契約の場合は2 週間に1 回以上と定められています。
売却活動内容や反響状況、市場動向などについて報告させていただきます。

2.購入の申し込みを受ける

案内をした何名かの中から、物件を気に入った人から購入の申し込みを受けます。
なお専属専任媒介契約、もしくは専任媒介契約を結んだ場合、不動産会社は定期的に売主へ売却活動報告を行う義務があります。
そのため、メール・電話・手紙、訪問何らかの方法で不動産会社から連絡が来るので売りに出した反響がどの程度あったかを定期的に知ることができます。
案内が終わったら、不動産会社からの連絡を待ちます。
この段階で買い主からの条件交渉(値引き交渉)を受けることもあります。

3.買主からの条件交渉に対応する

不動産の売却で一番悩むところかもしれませんが、一度売り時を逃すとずるずると引きずられてしまうものです。
売却完了に向けて、条件交渉には前向きに検討していきましょう。
価格交渉の他にも引渡し時期なども条件になることがあります。
内覧を経て購入意思が固まった人から不動産会社経由で購入申込書(買付証明書)を受け取ります。
売却活動の一連の手続きを経て、購入者が確定したら売却活動は終了です。
売却完了までのイメージができたらまずは査定からスタートしてみましょう。

購入申し込みにあたり確認する事項

・購入希望価格
・代金の支払い条件
→手付金:売買契約締結時に支払われるもので、売買価格の5~10%程度が一般的です。or(10〜20)
→残代金:売買価格から手付金を差し引いた金額が記載されています。
・融資利用予定の有無
・契約、引き渡し希望日
・その他の希望条件

売買契約を結ぶ前に、物件に関する情報をできるだけ正確に購入希望者へ提供しましょう。 特に契約締結後のトラブルを防止するためには、物件に不具合や欠陥など瑕疵がある場合には、誠実に購入希望者に伝えることが大切です。 また不動産会社が仲介する場合は、「重要事項説明」という制度に基づく詳細な物件説明を行いますので、不動産会社の物件調査に協力しましょう。

買主と売買契約を締結する

1.売買契約で必要書類を準備する
2.重要事項説明の読み合わせ
3.署名押印、本人確認、手付金の授受

買主が決定したら、不動産会社が「買主側の住宅ローン事前審査」と「物件の最終調査」をおこない、特に問題がなければいよいよ不動産売買契約を結びます。
売買契約は、売主・売主側仲介業者・買主・買主側仲介業者の四者が、売主側仲介業者のオフィスにて一堂に会し行うことが多いです。
どうしても売主と買い主の都合がつかないときには、手付金の支払い方法や手付金領収書の受け渡し方法など重要事項を事前に決めた上で、署名捺印を別日に行うこともできます。
売買契約の前には必要書類を準備しておきましょう。

1.売買契約で必要書類を準備する

ご用意いただく書類、金銭等
・実印、印鑑証明書(共有の場合各々)※印鑑証明書の有効期限は3ヶ月以内
・登記済権利証、登記識別情報 ・固定資産税等納税通知書、住民税決定通知書
・本人確認書類(免許、パスポート等)
・住民票(住所変更登記がある場合)
・売買契約書貼付印紙、または印紙代
・仲介手数料(半金)
・管理規約、分譲時パンフレット、建築確認書等
・売却物件に付随するすべての鍵
・抵当権抹消書類一式
・印鑑、受入先金融機関預金通帳等 ※物件により準備する書類が変わることがあります。

※売買契約の締結に際し、ご本人(共有者含む)が出席出来ない場合ご本人(共有者)の委任状と印鑑証明書および代理人の印鑑・本人確認書類が必要となります。

2.重要事項説明の読み合わせ

・売買契約に先立ち、重要事項の説明を宅地建物取引士より受けます。
・重要事項とは、不動産売買にあたり不動産会社が売主様・買主様に説明しなければならない事項をいい、対象不動産の権利関係、法令上の制限、契約解除に関する事項、その他重要な事項などがあります。

3.署名押印、本人確認、手付金の授受

・売買契約書には売買代金や売買対象面積、引渡し時期等が明記されます。
・契約時に物件の状態を確認する書類として、「設備表」と「物件状況等報告書」があります。
・売買物件に付帯する設備(キッチン、給湯器、エアコン、照明器具など)、売買契約時の物件の状況(雨漏りの有無など)を売主様から明確にします。
・買主様から売主様へ手付金が支払われます。不動産会社に対して仲介手数料(半金)を支払います。

契約場所で宅地建物取引士が同席し重要事項説明の読み合わせをおこない、売買契約書を締結します。
契約では契約書に署名の押印をおこない、用意した書類をもとに本人確認をおこないます。
本人確認ができたら手付金の授受を同時におこないます。
内容に合意したら、売主・買主双方が契約書への署名・押印を行います。
契約後、印紙が適切に貼られた契約書を売主・買主が一部ずつ持ち帰ることになります。
売買契約自体は以上の流れで完了します。
また、不動産の「権利証」がない場合は適切に決済を行う事ができないため、決済の前までに探しましょう。
万が一、紛失していた場合「本人確認情報」の作成を司法書士に依頼します。

物件の引き渡し、決済を行う

1.決済金を支払う
2.土地の確定測量を実施する
3.抵当権抹消手続きを行う

1.決済金を支払う

売買契約のなかで定めた日時で決済と引渡しが行われます。
売却価格分の代金を買主から受け取るだけでなく、売主の住宅ローンが残っている場合は融資先の金融機関との間で同時に返済を行います。
売主・買主・不動産会社・金融機関の担当者を交えて決済が完了したら、同日のうちに不動産の現地に赴き不動産の引渡しが行われます。
金融機関へ一括返済費用・不動産会社へ仲介手数料の半金・司法書士へ登記費用を支払い、決済を完了させます。

・登記申請書類の確認
・残代金等の受領、費用の支払い
受け取り→売買残代金(手付金を差し引いた残金)
      固定資産税等、管理費の精算金(引渡し日において日割清算)
支払い→登記費用(抵当権抹消、住所変更登記等)
    仲介手数料

・物件の引き渡し
買主様へ建物に付随するすべての鍵をお渡しいただきます。
その際確認として「不動産引渡確認証」を発行していただきます。
※管理規約、パンフレット、付帯設備の保証書、取扱説明書等を買主様へ引き渡します。
・抵当権抹消書類の受領
お借入先金融機関にてお受け取りいただきます。
司法書士に書類を渡し、抹消登記を依頼します。

2.土地の確定測量を実施する

買主への引き渡しの前に隣地との境界や引き渡す面積を確定するために、土地の確定測量をおこないます。
これは売却する不動産の範囲を決めるために実施するものです。
確定測量には費用がかかるので、売買契約後におこなうのが妥当です。

3.抵当権抹消手続きを行う

物件にまだ銀行のローンが残っている場合は、決済の前に抵当権の抹消準備をします。
金融機関に連絡すると、抵当権抹消書類の準備をしてくれます。

引き渡し手続では、売買代金を受領するのと同時に登記申請を行います。
細かな設備や備品等の取り扱いなどについても、買主と現地立ち会いを行った上で十分に確認をしましょう。
また引き渡した後の税務申告などの手続きも漏れがないように気をつけましょう。

不動産売却後の確定申告

不動産売却後、売主は不動産売却によって得た利益にかかる税金を納付するために売主は確定申告を行う必要があります。
約1年間ほど期間が空きますが、毎年2月中旬~3月中旬の1ヶ月の間に行います。
確定申告を行うことで利益にかかる税金の額を減額することが出来る特例制度があります。
同じく不動産売却によって利益が得られず損失を生んでしまった場合でも、損失を減らすことが出来る特例制度もあるため、不動産売却をした方は必ず行うべき手続きとなります。

必要な書類を準備しましょう。

・市区町村役場から住民票を入手
・法務局から建物、土地の登記事項証明書を入手
・会社から源泉徴収票を入手 税務署から確定申告書、計算明細書を入手
・不動産売買契約書のコピーを取る

確定申告書等の書類を記入した後、税務署で手続きをおこないます。
確定申告を終えたら不動産売却は完了です。

まとめ

不動産を売却する際の流れはこれで全てです。
大きな金額が動く不動産取引ではあらかじめ全体の流れを理解しておくことが失敗しないために重要です。
また所有している不動産の相場を把握したり、仲介の契約をする不動産会社を選んだりすることも、損をしない不動産売却において大切になってきます。
最初から1つの不動産会社のみに査定依頼をすると、価格やサービスの面で損をする可能性がありますので、早くそして高く売れるいい条件の不動産会社を探すためにもおすすめです。

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